障害年金の請求を応援する社会保険労務士のブログ

障害年金の仕事が大好きな東京都町田市の社会保険労務士が、誤解だらけの障害年金のことを暑苦しく語ります。

障害年金の更新と支給停止について

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20歳前に初診日がある障害年金の受給権者約1000人の方に、「障害年金を受給できる障害の程度にあると判断できなかった」として、1年後に診断書の再提出を求める文書が届いていることが報道され、受給者の方や、これから請求される方にも不安が広がっているようです。

mainichi.jp

今回は、この報道に元になっているそもそもの仕組み、障害年金の再認定(いわゆる「更新」)と支給停止、そして「支給停止事由消滅届」について書きます。

障害年金の再認定(更新)と支給停止

以前も書きましたが、障害年金は「障害の状態」で認定されます。

blog.yotsuba-support.net

障害は「状態」ですから、変化することもあります。そのため、障害年金は多くが「有期認定」となっていて、数年に一度、「障害状態確認届」(診断書)を提出する必要があります。*1

何年の有期認定になるかは、障害の種類や状況等により、個々に異なります。最初の請求に対する決定時と再認定の都度、次回は何年に診断書を提出するのかが決められ、通知されます。

そういえば、うちの子と同じ障害のある子のお母さんが、5年に1回診断書を出さなければならないと言っていたわ。

症状が変動しにくい疾患では、5年という長めの認定になることもあります。逆に症状が変動しやすい疾患では、2年前後の認定となることが多いようです。1年の場合もありますよ。

提出月は、20歳前に初診がある場合は一律に7月、それ以外の場合は誕生月となっています。

障害状態確認届により、障害の状態が軽くなったと判断されれば、等級が下がったり、障害等級に該当しないとして支給停止になることもあります。

このように不利益に変更される場合、提出月の4か月目の分から支給停止や減額となります。たとえば7月が提出月であれば、11月分から改定されます。

支給停止事由消滅届

障害の状態が、定められた障害等級に該当しない程度に軽くなったとして支給停止された場合でも、受給権(年金を受給するための基本的な権利)はなくなりません。

障害等級に該当しない間、支給が「停止」されますが、障害の状態が悪化して、再び障害等級に該当したと認められれば、支給停止は解除され、年金支給が再開されます。

支給停止の解除のためには、「支給停止事由消滅届」という届出書に診断書を添付して、年金機構に提出することが必要です(障害状態の審査により、認められる場合と、認められない場合があります)。

この支給停止事由消滅届について、時々誤解があるのですが、障害等級に該当すると認められた場合、届出をした月の翌月分から支給再開されるのではなく、障害等級に該当した日(具体的には、診断書の現症の年月日=いつの障害の状態なのかを示した年月日)の属する月の翌月分から再開されます。

たとえば、1月の障害の状態について作成された診断書を添付して、6月に支給停止事由消滅届を提出し、障害等級に該当すると認められた場合は、1月に遡って支給停止が解除され、2月分からの年金が再び受給できます(手続きを代理し、5年間遡って認められたケースもあります)。

障害年金が支給停止されてしまった場合でも、状態が悪くなれば、再び受給できる可能性があることを、ぜひ覚えておいて下さいね。

報道について

障害基礎年金は、以前、都道府県ごとに置かれる事務センターで審査が行われており、都道府県によって、審査が厳しかったり、やさしかったりということがありました。

2017年4月より、東京にある「障害年金センター」という部署に審査が集約されることになり、現在は、障害基礎年金も障害厚生年金も全て、この障害年金センターで審査が行われています。

これにより地域差というのはなくなるものの、それまで認定がやさしかった地域では、審査部署の一元化によって、支給停止される人が多数出るだろうということが、当初から懸念されていました。

今回問題になっているのは、障害の状態が軽くなったから支給停止されるのではなく、障害の状態も、診断書の内容も変わらないけれど、審査が一元化されたことによって、障害等級に該当しないと判断されたというものです。

ただし、いきなり支給停止にするのではなく、経過措置として1年間は年金を支給し、1年後(2018年7月)に再度診断書を提出してもらって審査を行い、その結果、支給停止になることもあり得るということです。

同じ障害の状態にありながら、住んでいる地域によって、年金が出たり出なかったりするのは、明らかにおかしい。とはいえ、長年受給し、生活に組み込まれていた月額約65,000円の年金が支給停止されるのも、かなり厳しい。難しい問題です。

とはいえ、定められた障害等級に本当に該当しないのではなく、診断書に障害の状態がきちんと反映されていないために、該当しないと判断されたという方も、たくさんいらっしゃるのではないかと考えます。

今年7月に提出する診断書には、障害認定基準や評価の観点を主治医の先生にきちんと理解していただき、ご自身の普段の状態もしっかり伝えた上で記入していただければ、支給停止にはならない可能性も高いと思います。

一方、20歳以後に初診日がある方については、同じ理由にもかかわらず、1年の経過措置なしで支給停止されている方が多数いらっしゃって、不公平だという声も上がっているそうです。

支給停止はされたものの、障害の状態は変わらず等級に該当するはずだという場合は、前述した「支給停止事由消滅届」を提出する方法があります。

年金事務所にも相談できますし、社労士の相談なども、ぜひ活用して下さい。

*1:障害の状態が全く変化しない一部の障害については、「永久認定」となります