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障害年金の請求を応援する社会保険労務士のブログ

障害年金の仕事が大好きな東京都町田市の社会保険労務士が、誤解だらけの障害年金のことを暑苦しく語ります。

障害年金の請求。社労士に依頼した方がいいケースと依頼しなくていいケース。その1

障害年金(全般)

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 何ヶ月か前に、次のようなお電話をいただきました。

「社労士さんに相談すると、電話をしただけで高額な請求をされるとか、追加の費用などを取られるだけ取られて結局うまくいかなかったとか、色々な噂があるので、相談するのが怖いのです。ホームページに書かれていた、立川市での無料相談会がまたあれば教えていただきたいと思いまして・・・」

いったいどこでそんな噂が?

という疑問はちょっと脇に置き、状況をお聞きすると、初診日が30年ほど前にあり、その証明が取れないため先に進めず、頓挫しているというのです。

このお電話は、やはりブログを書き続けようという強烈なモチベーションになりました。

・・・と、そのわりには、相変わらずちっとも更新できていませんね^_^;

そして前回、”次回は、具体的にどのようなケースがあるのか、事例をあげながら書いてみます。”と書いてからも、早2ヶ月半。

そんな自分にちょっと自己嫌悪しつつ、遅くなりましたが続きを書きます。

請求が遅れることで不利益になるケース

このお電話の方は、人工透析を受けられているということで、障害等級自体は間違いなく2級に該当する方です。状況から、事後重症請求*1となります。

事後重症請求の場合、裁定請求により受給権が発生し、年金支給はその翌月分からです。つまり、請求が遅れれば、その分、本来もらえたはずの年金が消えていきます。

仮に基礎年金で子の加算がない場合、1ヵ月分で約65,000円。半年請求が遅れれば、40万円弱の(本来もらえたはずの)年金が消えます。

一方、社労士に依頼した場合の報酬は、たいていが年金月額の2ヶ月分で、このケースだと約130,000円。依頼する社労士さえ間違えなければ、ご本人の労力はぐんと減り、しっかりした書類で、より確実に認定が得られます。

初診日の証明が取れず、先に進めないまま数ヶ月経ってしまった、あるいは年金事務所にも無理だと言われて諦めていた、そんなときにたまたま社労士の存在を知ったということで依頼をいただくことはわりあいあって、もう少し早く相談いただけていたら・・・と思ってしまいます。遅れることによる損失分が、社労士報酬をはるかに上回ってしまうのですから。さらに、自力で頑張った結果が、却下だったりすることも少なくありません。

なお、前回も少しふれましたが、請求が遅れることにより不利益になるのは事後重症請求の場合だけでなく、「初めて1級または2級」による請求、遡及請求で一部が消滅時効にかかる場合も同様です。それぞれについてはまた別の機会に。

障害の程度が実際より軽く認定され不利益になるケース

何年か前のケースですが、重度のうつ病で障害年金を受給していたものの、更新の診断書を提出する時期に、その手配をしようという気力がわかないまま2年ほど放置、当然ながら年金は差止めとなっており、ようやく提出しよう、しなければと思えるところまでは改善したものの、依然、自力では手配することはできないという方から、更新診断書の手配や提出等の依頼をいただいたことがあります。ここではAさんとします。

Aさんは裁定請求(最初の請求)の際に、ご家族の力を借りて遡及請求をしており、障害認定日、請求日ともに等級は3級で認定されていました。ですが、医師の診断、処方薬含む治療内容、症状、日常生活の状況など様々な観点からお話を伺うと、どう考えても3級どころではありませんでした。お話を伺った時点での状態も2級相当と思われましたが、障害認定日や裁定請求日の状態は、さらに悪かったということです。

診断書は、全体的な記載や「日常生活能力の判定」からは2級の内容ではあるものの、「日常生活能力の程度」が、5段階評価のうち(3)となっていました。3級の理由はおそらくここだけだったと考えられます。

そういった意味で、この(3)という評価自体が、全体の記載からは整合性を欠くものといえなくもないのですが、厚生年金の場合、(3)ではまず間違いなく2級認定されないのです(前回ふれた「精神・知的障害に係る障害年金の認定の地域差に関する専門会検討会」で、構成員である厚生年金担当の認定医師が公言しています)。

これらの評価は、診断書を書く医師の主観や各評価の捉え方に大きく左右されますので、普通に考えれば、この5段階のうちどこに丸がついているかよりも、全体の記載内容の方が本来の医師の判断に沿うものだろうし、評価との整合性が取れないのならば、認定側が、診断書作成医に確認するべきだと思います。

だからこの認定自体も相当おかしいのですが、これが障害年金の認定の現状です。本来、社労士が入る入らない以前の問題ですが、こういった現状があることを、まず知っておいてほしいと思います。

Aさんの場合、結果としては、差止めになった時点と依頼を受けた時点での2枚の診断書に、診断書を提出しなかった理由や現状等についての申立書を添付して提出し、差止になった時点から2級の年金が支給されることになりました。

ですが、障害認定日から裁定請求日、そして差止めになる時点までの分は、もうどうにもなりません。この間、合計約5年。仮に2級だったなら、家族の加算も含め年額約180万円×5年分で900万円。実際に受給されたのは3級で約80万円×5年分で400万円。5年で約500万円の差でした。*2

これはほんの一例で(とはいえ、とても印象的なケースです)、ご自身やご家族が自力で手続をされ、不支給決定になったということで、初めてご相談いただくことも多いです。

不服申立てには期限があり、この期限に間に合う場合には、不服申立てと再度の請求(再裁定請求)の両面から考えますが、いずれの方法を取るにしても、一度提出された診断書などの書類は、どこまでもついてまわり、場合によっては非常に長い間、請求者の足を引っ張り続けます。

請求手続きをする前に必ず知っておいていただきたいこと

請求する前に(できれば医師に診断書を依頼する前に)必ず知っておいていただきたいのは、次のような点です。

  • 障害の部位や種類に対応する障害認定基準(*)
  • 精神障害では日常生活能力の判定・程度の考え方
  • 内部障害では各疾患に応じた障害認定要領や一般状態区分などの考え方
  • 肢体障害では日常生活動作(ADL)の評価の考え方

(*)障害認定基準は下記、日本年金機構のサイトからダウンロードできます。

国民年金・厚生年金保険 障害認定基準|日本年金機構

特に注意が必要なのは、癌(治療の副作用を含む)や難病などで、強い痛みや全身倦怠感などの、目に見えにくい自覚症状が障害の中心となっている場合です。

極端なケースでは、たとえ末期癌であっても、人工臓器などのはっきりした障害がなく、検査数値に現れにくい場合など、診断書を作成する医師が障害認定基準や認定の考え方を知っているかどうかで、1級から2級の認定がされる場合と、不支給になる場合があります(これも実際のケースです)。

社労士ができること

診断書を作成する医師は、治療(医学)の専門家であり、障害年金(社会保障・法律制度)についてご専門ではないため、仕組みや認定の考え方などをご存じないことが多いですし、また、それはある意味、当たり前のことといえます。

年金事務所や市区町村の窓口での対応には限界があります。相談に訪れる方一人ひとりの治療歴や病状など全て聴き取って、個別にサポートするといったことは、役所という性質上も困難です。

社会保険労務士ができることは、専門知識と経験をもって、請求者と医療機関、請求者と役所、両方の橋渡しをすることです。

請求までの労力を減らし、一番良いかたちで年金を受給できる可能性が高くなります(=メリット)が、一方で報酬は生じます(=デメリット)。その報酬が高額なのかどうかは、個々の価値観によります。それぞれを天秤にかけて考えていただくしかありません。

その天秤がどちらが重くなるかは、無責任なようですが、ケースバイケースとしかいいようがありません。それぞれの重さの検討をつけるために、まずは相談を活用してほしいと思います。*3

(少なくとも「電話をしただけで高額な請求をされる」などということはないはずです。相談や依頼した場合の料金は、しっかり確認して下さい)

長くなりましたので、「社労士に依頼しなくていいケース」は次回にします。

*1:障害認定日の状態は障害等級に該当せず、その後の症状悪化により該当するようになった場合の請求。

*2:事例は大筋が変わらない程度にデフォルメしています。

*3:弊所の場合、電話やメールでの簡単な相談は無料ですが、より踏み込んだ相談については基本的に面談となり、5,000円(税別)の相談料を頂戴しています。ご依頼を希望されている場合を除き、ご自身で請求される場合の手順や留意点、病歴・就労状況等申立書の書き方などを含めて説明させていただきます。相談だけでも遠慮なくご利用下さい。