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障害年金の請求を応援する社会保険労務士のブログ

障害年金の仕事が大好きな東京都町田市の社会保険労務士が、誤解だらけの障害年金のことを暑苦しく語ります。

障害年金をめぐる誤解10選。最大の誤解は「自分には関係がない制度」という思い込み。

障害年金(全般)

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最初のエントリで、「障害年金は摩訶不思議で誤解に満ち満ちた世界だ」と書きました。まずは、しばらくかけて、この誤解について、ひとつひとつ考えたり、解き明かしていくという難題に挑戦してみたいと思います。おそらくかなり主観が入りますが。

非常にどうでもいいことですが、今、「挑戦」と書こうとしたら、「超戦」と変換されました。まるで何かを示唆しているようだと感じた自分、たぶん考えすぎです。

今回は、一般的にどのような誤解があるか、思いつくままピックアップしてみます。

「障害者年金」という制度はない(制度をめぐる誤解)

 「障害者年金」ではありません。「障害年金」です

「障害年金」は、かなりの頻度で「障害者年金」と間違われます。新聞などにも「障害者年金」と書かれていたり、障害年金を受給されている方ですら、間違っていたりします。

「障害者」というのが誰を指すのか、また「健常者」というのは一体誰のことなのか、正直なところ私にはよくわかりません。この問題は、ここではおいておきます。

ただ、この言葉の間違いは、世間一般で、障害年金という制度が根本的に誤解されている状況を象徴しているように感じられます。

障害年金は「申請」ではなく「請求」するものです

言葉の違いということで付け加えてみました。とても些細なことのようですが、意味合いが異なりますし、障害年金制度の性質に関わることです。せめて障害年金の専門を名乗る社会保険労務士の方は気をつけましょう。

自分も時々言い間違えます。気をつけます、はい。

「障害年金は福祉の制度である」という誤解も根強いものがあります

障害年金とは、公的年金の給付のうちのひとつです。日本の公的年金は、老齢、死亡、障害という3つの保険事故に備えて、あらかじめ保険料を納めておき、それら保険事故に該当したら給付を受ける「社会保険方式」です。

たまに「福祉の世話にはならん!」という方がいらっしゃいますが、あくまでも社会保険の制度であって福祉ではありません。

(個人的には福祉を使うことが遠慮すべきことだとはちっとも思いませんが)

 「対象になるのは身体障害だけ」という誤解もありますが、ほぼ全ての傷病が対象です

先天性疾患による障害や、病気や怪我で身体に一定の障害が残った場合はもちろん、がんや難病、脳疾患、呼吸器疾患、内臓疾患、糖尿病などの代謝疾患、精神疾患、なんらかの原因による運動機能障害など、全ての傷病が対象です。

年単位にわたる長期の治療や療養が必要なために、仕事や生活に制限(障害)がある場合に、その「障害の状態」に対して支給されます。

「全て」ではなく「ほぼ全て」と書いているのは、現状として、いわゆる「神経症」など、ごく一部の疾患が対象外とされているためですが、神経症だから絶対ダメというわけでもなくて、このあたりにも色々あります。

 「65歳にならなければ受給できない」わけではないのです

障害年金は、老齢年金の中のひとつではなく、老齢年金とは並列の関係にあります。

いくつかの要件がありますが、20歳以上の全ての方が対象です。請求自体は、65歳になると一部できない場合があるなど、一定の年齢制限はあります。

「請求すればもらえる」とは限らない(制度周辺にありがちな誤解)

「必要な書類を揃えて提出すれば必ず支給される」とは限りません

老齢年金や遺族年金と、もっとも異なる部分です。一定の要件があるのは老齢年金や遺族年金も同じですが、障害年金の場合は、これに加えて、初診日や障害状態などの診査があります。

「障害の状態が重ければ必ず支給される」わけでもありません

上の話と重なりますが、障害の状態がどれほど重くても、年金はびた一文出ないことだってあります。理由はいくつかあるのですが、初診日の問題や、診断書に障害の状態がきちんと反映されていないケースもかなり多いのが現状です。

数十年かけて進行する疾患の初診日の証明が取れず、苦戦していたときのこと。

その方の主治医(大病院の医師)に事情を説明し、ある意見書を書いていただけないかお願いしたところ、「この人は、これだけ障害が重くて苦労しているのだから、初診日がいつなのかなど関係ない。年金を出せばいい」と言われたことがあります。

「はい、おっしゃる通りなのですが、現状の制度では・・・」と、決して「おっしゃる通り」ではないのだけれど、ここは医師に合わせて説明を試みましたが、「ならば、あなたが制度を変えればいいじゃない」と、ばっさりきられました。

先生、私に制度を変える力はないし、制度が変わるのを待っていたら、この人はこれだけ苦労していても、年金がもらえません・・・

とはいえ「医師や役所に無理だと言われたから請求できない」ということもないのです

役所も間違うことがあります。年金事務所で「無理です」と言われたという相談を受けることもありますが、お話をよく聞いてみると、じつは全然無理ではなかったり、なんらかの方法が考えられるというケースはわりあいあります。

障害年金は制度自体が非常にややこしい上、ある程度の医学的な知識も必要になるなど、かなり勉強したり経験を積まなければ対応できないケースが山ほどあります。

一方、年金事務所や、市区町村の国民年金の窓口で対応される方は、老齢年金、遺族年金、障害年金と、幅広く対応しなければなりません。障害年金だけを深く深く学ぶというのは、実際問題難しいと思います。

だから間違っていいというわけではもちろんないのですが、「役所だって間違えることもある。それだけややこしい制度なのだ」という認識は持っておくべきです。

「障害年金を受給すると将来もらえる老齢年金は減りますか?」という相談をよく受けます

障害年金を受給すると、老齢年金が減るということはありません。

ただ、1級か2級の障害年金の受給権者は、国民年金保険料の免除を受けることができます。そうすると、その分、将来受け取る老齢年金が減ることがあります。

(正確に言えば、「その分減る」というほど減るわけでもなくて、このあたりは非常にややこしいため、ここでは割愛します。移転前のブログにがっつり書いたことがありましたが、情報が古いため、リニューアルしてUPします)

ただし、現在は、免除ではなく「納付」を選ぶこともできるようになっています。納付を続けた場合には、老齢年金額が減ることはありません。

「働いていたら障害年金はもらえない」のでしょうか。

制度上、仕事をしていると障害年金が受給できないということはありませんが、疾患の種類によっては、労働能力や就労の状況がかなり影響し、結果的に受給できないということはあります。

色々なケースがありますので、また詳しく書きます。

おまけ(こんな誤解もあります)

  • 封緘印の押された診断書の封筒を開けてはいけない
  • 障害者手帳を持っていないと障害年金は受給できない
  • 業務として障害年金の仕事を行う社労士は詐欺師である

障害年金は決して特別な制度ではありません。誰にとってもとても身近な制度なはずです。身近なのに、知られていないし、誤解が多すぎて、本来受給できる人ができていない現実がたくさんあります。移転前のブログでもさんざん書いてきましたが(しつこくてすみません)。

思いのほか長くなりました。長すぎた・・・

今回ざっくり書いたいくつかのことについては、またひとつひとつ取り上げて書いてみたいと思っています。